加計呂麻島の冬は、雨天曇天。
第二の雨期と呼びたくなるくらい、ほんとうによく雨が降る。
大阪出身の私は、ピリリと冷えた空気とカラリと晴れた空。
それが冬、という印象。
ところが、ここ加計呂麻ではしっとりと冬が通り過ぎる。
1年のうちでは比較的湿度は低い方だが、それでもやはりしっとりしている。
洗濯物は乾きにくいが、かわりにお肌の乾燥に悩まされることもない。
雨が降るだけではなく、強い北西風もよく吹くのである。
私の主な持ち場は、東シナ海サイド。
冬型気圧配置には、豪快な荒波を披露してくれるのだ。
私達は、その大暴れする海を静かに見つめ、身体の底まで響く波音を感じつつ、
穏やかになる時をじっと待つのみなのである。
海は豊かな恵を与えてくれるが、常に自然の圧倒的な力がもたらす緊張感が側にあり、背筋がしゃんとする。
豊かな雨は森を生き生きと輝かせ、海へ養分を運んでくれる。
雨や風が強いと海にも出られず、お家仕事が多くなる。
外に出られないとオットとネコは不満顔であるが、
インドア作業が割と好きな私は、雨音・風音・波音を聞きながら読書をしたり、
お手紙を書いたり、お家の補修をしたり、カヤック修理をしたり、釣りのしかけを作ったり、晩ごはんを何にしようかなあ、なんてのんびり過ごすのである。
冬は夏にできなかったことをひとつづつ整理するよい時間でもある。
ひとしきり雨が降ったあとの青空や夕焼け、星空はことさらに美しいと感じさせてもくれる。
晴れた日も雨の日もどっちもあっていいのであるなあ。