カヤックでふたたびクジラに出会う

16031501

またシーカヤックでザトウクジラに出会ってしまった。

今度はカヤックを漕ぎ出してすぐの出来事だった。

この日は釣り好きのゲストと共に海へ。
前日もみんなでカヤック釣りに出かけたのだけれど、釣果はイマイチ。
「釣れない日があってこそ、釣れた時の喜びはひとしおだよね」
「今日こそおいしい魚を釣るのだ!」と、釣り意欲満々で浜を出発。
この日は午後から風が強くなる予報だったので、比較的風が穏やかなうちに、
せっせと沖を目指して行くはずでした。が。

漕ぎ出して間もなく、目の前にクジラのブロー。

まさかと我が目を疑ったが、間違いなくザトウクジラがここにいる。
静かな海には風の音とクジラの呼吸音だけ。

スタート地点の浜からすぐ目の前である。
岸にいた人々も確認できたほどの近距離。

まさか、こんなことがあるなんて。
本当に海は、自然は、いつも想像を超えて迫ってくる。

あんなに意気込んでいた私達だったけれど、もう釣りどころではない。
クジラがどっちへ進むのか、ゆっくりと静かに様子を伺う。
シーカヤックだからこそ感じられる微妙な波の揺れ加減と風、音、匂い。
自分がクジラと同じような海の生き物になっている錯覚にとらわれる。
ちっぽけな私達は、波に揺られ風に吹かれて、ぽかんと浮かび、
ただ見つめているだけなんだけれど、この大きな世界に融けていくような気がする。

あまり岸に近いので、クジラが迷子になってしまったのかと心配したけれど、
(たまに迷いクジラが浅瀬に入って出られなくなることもあるのです)
何度かブローを見せてくれた後、しばらくして姿が見えなくなったので、
沖へ出ていったのだと思う。

このまま無事に大航海を続けてほしい。