春の海

水面からこんな美しいサンゴの小宇宙を眺めていると、小人になってこの美しくも妖しい世界に入り込みたい衝動にかられませんか?

海の中は、いろとりどり形もさまざまなサンゴが森のように広がり、特に春は海藻が増えるので、美しい緑も輝きます。その華やかなサンゴと海藻の森の中を、これまたさまざまな生き物たちが、ただよい、とどまり、泳ぎ回り、歩き回っています。早くも卵から孵った小さな小さな稚魚たちが泳ぐ様も見られ、そのなんともかわいらしくいとおしい姿に見とれてしまいます。

4月の加計呂麻の海はまだまだ冷たく、1年のうちでもとても水温の低い季節です。ここ数日の海水温は20℃程度。みなさん意外に思われる方が多いのですが、今より12月初旬の海の方が水温が高いのです。

海の季節は2ヶ月遅れなどといわれ、冬に冷えた海水の温度が上がってくるのはこれから。逆に秋や冬のはじめ頃は、夏にあたたまった海水が熱を蓄えているので、温かいという訳です。ラッシュガードなどのライトなウエアで泳ぐことのできる季節が待ち遠しくもありますが、冷たい水に飛び込むと、キリリとして気持ちのよいもの。

海で冷えたからだをひなたぼっこであたためる。

のんびり静かな時間はかけがえのない至福のひとときです。