そうだ、海へ行こう

私は陸の生き物だけれど、束の間、海の生き物のように振る舞ってみたくなる。

海の中に騒音はなく、ただそこにまっすぐ生きる様々な生き物たちの営みがあるだけ。全く無音かと言うとそうでもなくて、魚が珊瑚をかじる音、カニがパチパチハサミを鳴らす音、波が砕ける音、運がいいとクジラの素敵な歌声が聞こえてくることも。

言葉のない世界はいい。


この日もとてもいい日だった。


エントリーするや否や、アオウミガメさんのお出迎え。
息をこらえてそっとその姿を見ていると、カメさんの方からゆる〜っと近づいてきたりして。こちらのことは全く気にする様子もなく、はむはむ海草を食べている。

そろそろカメさんたちの繁殖の季節。岸の近くにかなり大型のアオウミガメが集まってくるので、出会うチャンスも増えてくる。この日も1度のエントリーで3匹の優雅なカメさんに出会った。

少し深場で潜水のトレーニングを繰り返していると、遠くにクジラの歌声が。
海底から空を見上げ、ホエールソングに身を委ねるのがこの季節の一番の幸せ。


浅場へ戻って、珊瑚礁のカラフルでかわいい生き物たちをじっくり観察。
とびきり大好きなハタタテハゼにロックオン。背びれをちょこんちょこんと動かしてホバリングしている姿のなんと愛らしいこと。5cm程度の小さなハゼを驚かせないように、あの手この手でアプローチ。


まあまあ可愛く撮れたかな。

なんて、家からトコトコ歩いて誰にも会わずに海まで行けるからこその贅沢なのですが。

実は楽しいことばかりでもない島暮らし、そもそも、気をつけていないとしばらく人に会ってない!、なんてこともあるかなり閉鎖的で特殊な環境ですので、息苦しくなる前にクタクタになるまで泳ぐ、というのが健康法のひとつなのです。

今は皆さんお出かけできない時期ですが、海は加計呂麻島は逃ませので、皆さんとの〜んびり、この美しい世界をご一緒できる日を楽しみに、コツコツ暮らしを重ねてお待ちしています。